こんにちはー、黒髭コケが嫌いなゾエ(@zoe)です。
今回はサイアミーズフライングフォックスについてのお話です。「黒髭コケを食べる」という理由で飼育している人も多いのではないでしょうか。
サイアミーズフライングフォックスの基本情報
サイアミーズフライングフォックスは、タイ、マレーシア、インドネシア地域に生息するのコイ科の熱帯魚。
アクアリウムにおいては、水草や石・流木など水槽内の苔を食べるので「水槽の掃除屋さん」などの愛称で紹介され、水槽内のメンテナンスフィッシュとして飼育されることが多いです。
シルバーの体にブラックのラインが入るシンプルな見た目。成長して状態の良い個体は、体色が金色がかってそれなりに綺麗ですが、観賞用として飼育されることは少ないようですね。
流通名 | サイアミーズ フライングフォックス |
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学名 | Crossocheilus oblongus |
分類 | コイ目/コイ科/クロッソケイルス属 |
分布 | タイ/マレーシア/インドネシア |
最大体長 | 10〜15cm |
寿命 | 5年〜10年 |
水質 | 22〜26℃/弱酸性〜中性/軟水 |
参考価格 | @150円〜300円 |
名前の意味・由来について
名前の”フライングフォックス”という部分から”空飛ぶ狐”をイメージした方も少なくないでしょう。インターネット上でも”飛狐”の表記で表現されることもあります。
この名前について気になったので調べてみましたが、どうやら狐とは関係が無いようです。
フライングフォックス(Flying Fox)はキツネの頭に似た頭を持つ大きなコウモリのことで、サイアミーズ(Siamese)は生息地であるタイの旧国名シャム(siam)のことのようです。
ジャパニーズ(Japanese:日本の〜)みたいな感じですかね。ちなみに猫の品種、シャム猫もタイ原産ですね。
ようするに「サイアミーズフライングフォックス」は「タイのオオコウモリ」という意味になる…のかな?体色のブラックラインがコウモリっぽく見えたのでしょうか。
(※諸説あるようなので、正しい情報でない可能性もあることをご了承ください。)
黒髭コケ対策になるって本当?
さて、サイアミーズフライングフォックスの一番の特長は黒髭コケを食べることですね。
水槽内には様々なコケが生えますが、その中でも黒髭コケは特にやっかいな苔。環境の整った水槽環境であっても発生することがあるうえ、水草はもちろん石や流木などにしっかり張り付いているため除去するのが困難です。
そんな黒髭コケを食べる唯一の魚と言えるのが、サイアミーズフライングフォックス。実際にうちでも飼っていますが、たしかにサイアミーズフライングフォックスは黒髭コケを食べています。
5cm以上に育ったサイアミーズフライングフォックスであれば60cm水槽に1〜2匹いるだけでも、だいぶ黒髭コケを抑制してくれますね。3〜4cm程度の小さい個体だと、苔取り効果はそれほど高くないようです。
飼育するうえで注意したいポイント
黒髭コケを食べるという点だけみるとアクアリストの強力な味方なのですが、飼育するうえで注意したいポイントがあります。場合によってはデメリットにもなり得るので、飼う(買う)前にしっかりと理解しておきましょう。
黒髭コケが主食(餌)というわけではない
サイアミーズフライングフォックスは、黒髭コケ“も”食べるという程度に考えておきましょう。茶色のコケ(茶苔)や糸状のコケ(アオミドロ)などの方が好んで食べますし、人工飼料もよく食べます。あくまでも「黒髭コケの予防」程度に考えておいたほうが良さそうです。
ウィローモスが食べられてしまうことがある
苔を食べるということは、当然ウィローモスも食べます。うちで飼っていた個体は新芽や葉の部分が大好物のようで、茎だけ残されてスカスカになったウィローモスをよく見ました;
モスをメインにしたレイアウトの場合はサイアミーズフライングフォックスの数を少なめにするなど、気をつけたほうが良いかもしれません。
水槽から飛び出すことがある
サイアミーズフライングフォックスは遊泳力・ジャンプ力がかなり強く、水槽から飛び出すことがあります。可能な限り水槽には蓋をした方が無難です。
レイアウトをリセットするため一時的にバケツに移していた際に、10cm以上の高さを飛び越してしまったこともあります。
成魚になると10cm以上に成長する
ショップでは3〜4cm程度の小さい若魚が販売されていることが多いです。この程度のサイズであれば問題なく飼えますが、成長すると10cm以上の大きさまで成長するので小型水槽では飼育が難しくなります。
できれば60cm以上の水槽での飼育しましょう。
はじめはペンシルフィッシュのように小さくかわいいサイアミーズフライングフォックスも、やがて丸太のように太く大きく育ち、貫禄がハンパない感じになります(笑)
小型水槽などでサイズが気になる場合は、最大体長が4cm程度の「オトシンクルス」をメンテナンスフィッシュとしておすすめします。ただしオトシンクルスは黒髭苔を食べないのでご注意。また、やや高価になりますが「オトシンクルス・ネグロ」は比較的コケとり能力が高く、丈夫なので特におすすめです。
よく似たフライングフォックスという別種の魚がいる
名前に”サイアミーズ”と付かないという魚がいます。
見た目も名前も非常によく似ているため間違って購入してしまうこともあるかもしれません。フライングフォックスは、サイアミーズフライングフォックスと比較すると、苔取り能力がやや劣る、さらに大きく成長する、気性がやや荒いなど、デメリットの部分を強化しちゃった残念な感じ;
サイアミーズと見分けるポイントは、フライングフォックスは各ヒレに赤や黄色の色が入っていたり、体の黒いラインの上に金色のラインが入っているなど、少しカラフルな見た目です。サイアミーズは体色が黄色味を帯びることはありますが、ほぼ白黒のツートンカラーです。
また、サイアミーズはブラックのラインが尾の中まで伸びています。
その他にもアルジイーターやガラ.spという魚もわりと似ているので間違わないように注意しましょう。
サイアミーズフライングフォックスの混泳について
基本的にサイアミーズフライングフォックスは他の魚との混泳が可能です。ただし成長して大きくなると気が荒くなる場合も少なくないので、グラミーなどおとなしい魚との混泳は避けたほうが良いです。
また、同種間では小競り合いをすることがあります。水草が繁茂して隠れ家がたくさんある環境が望ましいですね。
エビの場合、ヤマトヌマエビくらい(4〜5cm)のサイズであれば殆ど問題ありませんが、ビーシュリンプや稚エビなど1cm前後・未満のエビは食べられてしまう可能性があるのでご注意を。苔を食べると言っても草食というわけではなく、雑食で何でも食べます。
コケ対策にはオトシンクルスとどちらが有効?
サイアミーズフライングフォックスとオトシンクルス、どちらがコケ対策に有効でしょうか?
あくまでも主観ですが「それぞれ一長一短あり、一概にどちらが有効とは言えない」と思います。
オトシンクルスは茶苔などの柔らかい苔をよく食べますし、サイアミーズフライングフォックスはオトシンクルスが殆ど食べない黒髭コケなどの硬い苔も食べます。体が大きくなる分、食べる量はサイアミーズフライングフォックスの方がたくさん食べるようですが、どちらもコケ対策として過信しない方が良いでしょう。
あとがき
最大体長が大きくなることや気性がやや荒くなるなど注意点はありますが、黒髭コケ対策には心強い魚です。気になる方はぜひ飼育してみてください :)